バリ島に行った事のある人なら、誰もが、街のあちこちで、ヤシの葉で作った四角い容れ物に色々な花びらが入った綺麗な供物を見たことがあるでしょう。
チャナンといいます。
バリのヒンドゥー教徒は、毎日決められた場所にチャナンを一般家庭でも数十箇所にお線香と一緒に供えるそうです。チャナンは地面より上に置くのは神様への捧げ物で、ー地面に直接置くものは悪霊への捧げ物と言われています。
バグースジャティではホテルの無料のアクティビティとして、このチャナン作りが体験できます。まず参加者は皆 サロンを腰に巻き、簡易ですが、正装をします。
ゴザに座り、スタッフの手本を見ながら、まずはヤシの葉で容器作り。葉っぱの特性を活かしながら、裂いたり折り曲げたり、折り紙に似た感覚で四角形、三角形、花型を作ります。葉っぱの繋ぎ目は細く裂いた竹ヒゴを利用します。
容器の中にはまず心臓に当たる葉を丸めたものを入れてから、マリーゴールドやプルメリアなど様々や花を入れ、真ん中にパンダン・ハルムという緑色の海藻みたいな細い草、ポロサン(神様のシンボル)を入れ、最後に聖水を3振り、御線香を備えます。家や店によっては、キャンディなどを入れるところもあるそうです。
バグースジャティでは、ホテル内のお寺の前で、マントラを唱えてチャナンを捧げるところまで行います。
毎日、1日3回、ちなみにバグースジャティ内では50箇所以上に備えられているそうです。功利的な視点からだと「無駄な作業?」といわれかねないであろうこの行い。
チャナン作りは、子供の時から親と一緒に行い、身につけていくしきたり。こうしたしきたりがバリ島自体の強い宗教観やカルチャーを後世に伝えていく橋渡しになっているのだろうな、と思え、このアクティビティに参加して良かった、と思いました。
チャナンは、踏まれてバラバラになってもやがて土に還るものだけでできています。
毎日何かに感謝する時間がある、祈る、ということは、精神衛生上とても良いことの様な気がします。
ふと昔、朝起きると仏壇の水を換えて鈴を鳴らしていたおばあちゃんを思い出しました。