ブータンNEWSいくつか・・・

<ウォンディフォダン・ゾン全焼>

これはとても残念なニュースです。
少し前になりますが6月24日にウォンディフォダン・ゾンが火災により、3時間で全焼してしまいました。
出火原因はいまだ不明です。
たまたま修復中であったため、ほとんどの仏像や経典は別の場所に保管されていたので無事だったのと、負傷者が出なかったことが不幸中の幸いです。

が、17世紀に建てられたゾンは、ブータンの中でも古く歴史のあるゾンのひとつでした。
多くのゾンが今、トタン屋根に変わってしまった中、伝統的な板葺屋根。
装飾もきらびやかでない感じが、日本の銀閣寺の美しさに通じるようなゾンでした。

5代目国王、前4代目国王も現状を確かめるために直ぐに現地入りされたとのこと。
そして翌日は国民全員喪に服すため休日に。
建物について、国民全員が喪に服す・・・この一体感はやっぱりブータンならではだ、と思います。

そして日本と同じく「木」と「土」が中心に作られた建物文化・・・
風化して自然に変えることは確かに素晴らしいのですが、
なんだかやるせない気持ちでいっぱいです。

<雑誌AERA 7月2日号>
「変わるブータン「幸せ」の裏側」

そもそも「幸せの国」ブータン、とか「微笑みの国」タイとかいう枕詞が
結構 現実とかけ離れていたりすることはよくあるものですが、
ブータンの一部のエリア(特にティンプー)が加速度的に変わりはじめていることは否めないと思います。

街の風景がどんどん変わっていくのも もちろんですが、
すべての変化は<人々の意識の変化>の表れに他なりません。
「お金が有れば豊かになる」「お金がほしい」「仕事がほしい」「家がほしい」・・・
人々の思考が、街を、国を変えていくのです。

私たちが日本で日常の会話に出てくるような思考が
あののどかなブータンにもTVやインターネットを通じてどんどん流れ込んでいる、
ということです。
「一度知ってしまうと、後戻りはできない」
本当はできなくはない かもしれないことなのですが、とても難しいことです。

先月訪れた上海では、ドライスティックに古い建物を壊して
新しいビルをガンガン建てている風景を目の当たりにし、
「古き良き・・・なんて感傷にひたってたら、負けちゃうよ」と街全体が訴えかけてるみたいな感じがしました。
それは<パワー>とも<世知辛さ>とも感じられるもの。
きっと 何かが変わっていく時には、必ず付きまとう感情なのでしょう。

私は「街が発展」とか「国が発展」とか、
そもそも何をもって「前進している」のか、そこが決まってないとなんの評価もできないと思っています。

ただただ あーまたあののどかな山道を歩きたい・・・
そう思う今日この頃です。

AERA-net.jp