最初「おうち」‥寅さん映画で有名な山田洋次監督が、何故今さらこんなメルヘンチックなタイトルにしたのだろう?と思った。
「おうち」は子供の頃に大人から言われた〈(あなたの)帰るべき場所〉だった。
だから、この言葉はどこ懐かしい思いがつきまとう。
この映画は、戦争を前線の兵士でも政治家でもない、ごく普通の家庭を育む一家族が主人公の紛れもない反戦映画だ。
ささやかな家族のしあわせは、モノではなく、子供の健康であったり、ある人との出会いであったり、ちょっとした言葉であったり。
そんな何も悪いことをしていない家庭が、戦争という縁遠い国家の威信や強欲の渦に、あっという間に木っ端微塵にされてしまう悲しみは、
計り知れない。
そして、そんな戦時を生き抜かれた方の深い思いは、平和しか知らない私達には、やはり想像を超えた悲しみがあるはずだ。
あの時田舎のおじいちゃんに、もっと戦争の話しを聞いておけばよかった、そう思った。
最近いよいよ壊れきった非人間的な身内絡みの事件が多い。
集団的自衛権が半ば強引に可決された今こそ、せめて悔いなくそれぞれの「ちいさいおうち」を守る
ことを考えたい。
制作:2014年
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、松たかこ、黒田華
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