旅先での買い物が、以前旅の楽しみのひとつであったことを、最近は懐かしく思うことがある。
僕が初めて海外旅行で買ったものは、タイのサムイ島で買ったスースーするシッカロール。
それ以降はオーストラリアで羽毛布団、バリ島でシェルでてきたシャンデリア、サンフランシスコではランプシェードを片手に帰ってきた。
みんな〈実用品〉ばかり。
当時は舶来品は日本で買うと高かったのだ。(今もそうか)
シャンデリアやランプシェードは今でも使っているけれど、僕のセンスはそんなものだ。
それがなぜか40歳以降は〈手作りのもの〉に変わった。その土地らしい温かさを感じる物。数年前に行ったバンコクでは小さな象が手刺繍されたハンカチ2枚、ローマでは洋裁店で革ジャン。(最近は何にも買わなくなって、ひたすら美味しい物を食べているか体験を楽しむようになっている)
CONTENTS
手作りのものの持つ温もりは旅の思い出もあったかくしてくれる。
本「ひとりみんぱく」は著者 松岡さんの蒐集物を一堂に集めて披露した<ひとり民族博物館>である。
世界中を旅しているカメラマンでありライターでもある松岡宏大さんが現地で買ったり,買わされたりした工芸品や民芸品、雑貨の数々の写真と共に、その品物についての記憶が添えられている。
たぶん心の琴線に触れたものばかりなのだろう。
ここまで集まると,確かに民藝博覧会である。
時や時代さえも経て集まった民藝品たちは、まるでビル・ゲイツのノアの方舟「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」のよう。
ひとつひとつに人知れぬ物語があって生き残ってきた物たちをまるで松岡さんが守って次世代に引き継ぐがのごとく蒐集されたように感ずる。
「蒐集」は「収集」と違い、レアで価値のある資産価値のあるコレクションである。
収集癖は男性に多いと言われるが、それは原始時代より男性が狩猟をしていた(出来るだけ獲物を集めようとする)ことに由来するらしい。
かくいう私は紙類が好きで、40代迄は雑誌の切り抜きやポストカード、チラシやショップカードを集めていた。
しかし例に漏れず,家族には邪魔なゴミでしかないので出来るだけ目立たない様に押入れの奥にしまっている。
これを整理するのが老後の楽しみなのだ。
「ひとりみんぱく」に登場するプリミティブでひとの温もりを感じる物たちは、本書に書かれた売人とのやりとりを読むに、それぞれストーリーで松岡さんの元に集まってきている。個人的にも松岡さんを存じ上げているせいか、そのブツが松岡さんの元にやってくる軌跡も何だか微笑ましいのである。。
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