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ホームレス小谷さんというひと
初日 羽田空港で初対面だった芸人 ホームレス小谷さん。
上から下まで真っ赤なスタイルの彼は一目でわかりました。
もんちゃんこと奥様は全身真っ黄色のスタイル。
今回は夫婦一緒の台湾旅行で、しかも旅行最終日はもんちゃんの誕生日でした。
彼は2013年4月から西野さんの家に居候した際、家賃を2カ月連続で滞納し、家を追い出されホームレスとなり、リアルなホームレスの日常をTwitterやFacebook、ツイキャスなどのSNSを駆使して配信を開始。また、今回カメラマンとして同行したヤンくんが名付けた株式会社住所不定という社名でネットショップを開設。
自分の1日を何でも屋として50円で売り、今現在も色々な依頼を受け続けているそうです。
今回ホームレス小谷さんと一緒に過ごしたことは、台湾の旅もさることながら、僕にとって様々な日常的な常識や観念に刺激を与えてくれるものでした。
彼ら夫婦は4年前にクラウドファンディングで集めた資金百数十万円で、浅草の花やしきを借り切り、1000人を集めて結婚式を挙げたり、2014年2月には結婚式で余った資金100万円を持ってフィリピンの被災地の小学校で『フィリピンジャパン』というお祭りを開催したりしています。
一般的な考えからいえば、クラウドファンディングは、〈信用度合〉を〈ファンド(お金)〉で表現してもらうもの。
とすると、僕が会ったホームレス小谷さんは、多分日本一〈信用のある〉〈ホームレス〉ということになるでしょう。
芸人夫婦、ホームレス…しかも今回のテーマは被災地支援。
カタイ思考ではどうにも混乱しそうな頭を落ち着かせつつ、まずは台北に出発した次第です。
自叙伝「笑うホームレス〜10キロ太って、嫁もろた」を読んで
僕は台北駅からの列車内で、ホームレス小谷さんが1冊だけ持っていた手売りの自叙伝「笑うホームレス〜10キロ太って、嫁もろた」を台湾元で譲ってもらい、花蓮への車中読ませてもらっいました。ほどほどに薄くて、2時間の移動にはぴったりのサイズ。
ホームレスさんの言葉で事実を淡々と語っているのですが、時々あっと思う言葉が綴られていて、
「お金」とか「しあわせ」とかについて、下手に分厚い本よりシンプルに色々 考えさせられてしまう本でした。
恩をつくって、恩で人生を歩む。
人間の生きる目的とは?とか、お金を必要としない生き方とはどんなものか?とか、普段当たり前に考えていることに、問題提起をしてくれ、しかも何よりも彼自身が実体験者なのです。
会社を経営する自分の立場では、スタッフや家族のことを考えればお金は必要に違いないのですが 、時に人はお金に振り回されてしまうことがあったり、人と人の繋がりや恩とか信用を時々後回しにしてしまうことがあったり、お金がないと恥ずかしくて、生きる気力を無くしてしまうこともあるでしょう。
お金がないのに堂々としていて、お金がないのに人に愛されて、お金がないのに他人の心配をする・・・
「お金ってなんだろう?」
ホームレス小谷さんと一緒に過ごすことは、お金について考える、ちょっと刺激的な時間でもありそうです。
彼の人の心にスルリと入っていくようなキャラクターは、この短い旅の中でも、様々な物語を生んでくれました。
人から何かを引き出すみたいに一緒にいるとお金を出しているのは周りの人間なのに、彼が神々しく感じられる不思議な瞬間があったりして。
何故だろう?
ちなみにホームレス小谷さんのトレードマークは上から下まで真っ赤な格好。ダリ風ヒゲ&メガネ。
この真っ赤なコスチュームは、目立つし、アジア人に本当に好印象。行の羽田空港から、通りすがりの人に声をかけられて、写真を一緒にとられていました。
襟元に「浄財」と刺繍が施されています。「浄財」とは「寺院・慈善などのため(個人の利益を離れて)寄付する金銭」のこと。
全くもって洒落がきついのです。
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