てるみくらぶの突然の営業停止のニュースは、金曜日の夜残業中に知った。実際この時点では「航空券の発券トラブルにより、航空券が発券出来なくなった」と言われていたが、事実上の破産は予想された。
私さえ「この価格なら行こうかな」と思われるその価格の安さで、春休みのこのシーズン、ハワイやグアムなどのニーズの高さは予想出来たので、申し込まれていたお客様の多さと急かつ金曜日の夜というこのタイミングは、同業者として様々な憶測と疑念を抱かざるを得なかった。
週明け、私の周りでも多額の被害にあった数人の知人から、「どうにかして支払った旅行代金が戻る方法はないか?」相談をうけた。
しかし被害数の余りの多さに、返金額の少なさは想像出来たので、決して良い返事をすることはできなかった。
同業者としては、極めて悪質で計画的であると思われてしまう事業結果に終わったことは、本当に残念だし、怒りを感じざるを得ない。
真っ当な商売が、いつしか人に迷惑をかけても金儲けに走らざるを得ない流れに変わったのは何故なのか、虚しさでいっぱいだ。
何故なら、旅行は夢を売る商売で、思いがつまった時間を売る仕事だからだ。
よく「旅行は行くまでが楽しい」と言われるが、3万6千件、約9万人の被害者の方々の夢に泥を塗り、その思い出はきっとずっと心に残る。
弊社は大きな会社ではない。しかし、自分は大きな会社にする器量もないかもしれないが、バランス感覚のある会社にはしていきたいと思っている。
少なくとも、自分自身がしたい旅を販売していきたい、それがPINKのモットーだ。
この事件で旅行に行く気分が削がれてしまった方がきっと多くいらっしゃると思う。
けれど、いつかその嫌な思い出を払拭出来る様な、楽しい旅行の思い出を創らせていただける様に頑張っていきたい。