静か。ストーブの火の瞬く音だけが聞こえる。
こんな静寂は久しぶり。
星のやに宿泊して、いたく嬉しかったのはベランダの炬燵に入って過ごしたこの時間。
今夜10時。
東京にいる時の夜の10時と同じ時刻とは とても思えない。
星野リゾートはここ数年で42軒にまで増えた個性的なホテルグループ。
日本発のラグジュアリースタイルホテル星のやは国内に4軒。もうすぐ5軒目が東京にオープンする。温泉旅館の界、西洋型リゾートのリゾナーレに大きくブランド分けされている。
渋谷からバスで2時間強。
外国人だらけの河口湖駅から30分ほどで到着する星のや富士は、かなり山奥と思いきや、湖畔からすぐの住宅地の向こうに、ひときわユニークなスコープみたいな外観が見え、何よりも民家からの近さに驚いた。
一軒家のレセプションではチェックインと共に双眼鏡やヘッドライトやお土産の入ったリュックを貸し出してくれる。 部屋へはそこからジープ。
パジャマやブータンの民族衣装の様なダウンコートも部屋に用意されており、ふらり手ブラで来れる快適さが嬉しい。
ゲストルームはいたってシンプルで、コンパクト。真っ白な部屋にテレビは無く、BULETOOTH対応のスピーカーのみ。だからこそ大きな窓の向こうには河口湖に映る巨大な富士山の借景はかなりの贅沢感。
階段をあがり、レセプション、山小屋風のレストランを抜けて行くと、ハンモックやテント、焚き火を囲むベンチなどのあるクラウドラウンジ。
スターウオーズ風無国籍デザインのユニフォームをきたスタッフが、シナモンの効いたアップルティーや長い竹串に刺したマシュマロを振るまってくれる。
夜は焚き火barで一杯やったり、テントの天井に映し出される無声映画を観たり、焚き火でゆっくりマシュマロを焼いて食べたり。
グランピングで話題になっている星のや富士だが、私がおすすめするのは、バルコニーのコタツから眺める富士山の絶景を眺めるひととき。
富士山の壮観な姿を見るだけで心が充電できるのは、日本人特有のDNAではないか、とふと思ってしまったくらいだ。